大和証券の営業マン時代② 『バブルに乗りそこねた一年半』
(1987年~88年8月 地元長野支店に一年半勤務)
大和証券長野支店。
営業マン10名ほどの小さな支店だった。
新人は私と高校の同級生F氏のふたり。
先輩はみな他県出身だが、のんびりアットホームな雰囲気だった。
営業エリアはかなり広く、南は佐久から北は上越まで。
車じゃないとまわれない。
高校の卒業生名簿や法人リストを頼りに新規開拓に励んだ。
だが、押しが弱い性格からか、成績はそれほど上がらなかった。
バブル真っただ中。
株は上がり続けるもの。
下がるなんて考えられなかった。
1987年10月のブラックマンデー。
先輩たちは大変だったが、顧客が少なかった私にはそれほど影響がなかった。
1988年夏。
転勤の時期。
支店長室に呼ばれた。
「お前は、ナンバ支店に転勤だ」
「はい、わかりました」
支店長室を出てから先輩に聞く。
「ナンバ支店って言われました。ナンバ支店ってどこにあるんですか」
大阪出身の先輩が教えてくれた。
「そりゃ大阪やで」
「大阪なんですか。あちゃー」
大阪。
縁もゆかりもない。
「なんか怖い街」というイメージしかなかった。
たった一年半の長野支店。
あまり成績が上がらず、全国の同期の中では最も早い転勤。
しかもよりによって大阪だ。