大和証券の営業マン時代⑥ 『信念をつらぬく』
(1991年 結婚を機に退職を決意 税理士になるぞ!)
支店には、同年代の営業マンが多かった。
はじめに三つ年上の先輩が結婚した。
するとどうだろう。
まるで伝染病のように次から次へと毎月1人ずつ。
結婚ラッシュが1年も続いた。
1990年。27歳の夏。
とうとう私も結婚することに。
結婚を機に、自分と家族の将来を真剣に考えるようになった。
こんな仕事を続けてていいのだろうか。
自分が本当にしたいことはなんだろう。
お客さまに喜んでもらえる仕事とはなんだろう。
毎日悩み続けた。
「よし、税理士になろう。学生の頃一度夢見た税理士になろう。がんばったらがんばっただけ、ありがとうと喜んでもらえる仕事をしよう」
退職を決意し辞表を出した。
1991年6月。28歳のことだった。
思えばみなバブルに酔って我を失い、金に踊らされた時代だった。
占いで、一度に何十億円もの株を売買する、料亭の女将がいた。
その後彼女は、預金証書の偽造が発覚、信用金庫をひとつ潰してしまった。
最年少で支店長になり、「時代の風雲児」と週刊誌にもてはやされた証券マンがいた。
その後彼は、顧客の株券数十億円を横領、逮捕されてしまった。
ノルマに耐えきれず、顧客に無断で売買してしまう証券マンがいた。
その後彼は、顧客に訴えられ、法廷の証言台に立った。
=== 私の証券マン時代はバブルの真っただ中に始まり、バブル崩壊直後まで本当に厳しいものでした。
それでも周りの雑音に惑わされることなく、信念をつらぬくことができたと思います。
この貴重な経験があったからこそ、今の自分があるのだと確信しています。===